バイアグラの成分シルデナフィル

有効成分シルデナフィル

『バイアグラ』は世界に先駆けて登場したED治療薬で、当時一躍脚光を浴びました。
『シルデナフィル』とはその有効成分であり、アメリカの大手製薬会社として名を馳せるファイザー社が開発し、ED治療薬の中では最も歴史があり臨床データも多く残されています。

日本国内でED患者は1,100万人を超え、4人に1人はEDに悩んでいる言われています。
ED治療薬の販売以前は、悩みを抱えていても過労や年齢を理由に充実した夜の生活を諦めてしまっている人がほとんどというのが現状でした。

シルデナフィルの登場により、勃起不全に悩む世の男性たちは希望と自信を取り戻し、夜の生活だけでなく、仕事や趣味の充実も叶えてくれました。
シルデナフィルは多くの人に『生涯現役』でいることを可能にした薬です。

クエン酸シルデナフィルとは

続いてシルデナフィルの化学構造について簡単に解説します。
薬の中に含まれる有効成分シルデナフィルは、『シルデナフィルクエン酸塩』という形で経口投与されます。

分子式は『C22H30N6O4S・C6H8O7』、分子量は66.70です。
バイアグラ25mgの錠剤中にシルデナフィルクエン酸塩が35.12mg(内、シルデナフィル25mg)、バイアグラ50mgにはシルデナフィルクエン酸が70.32mg(内、シルデナフィル50mg)が含有されています。

シルデナフィルそのものの形では状態が不安定で、水にも溶けにくいのでクエン酸塩という形で錠剤の中に含有されています。

バイアグラは、有効成分であるシルデナフィル以外の成分(添加物)として結晶セルロースや無水リン酸水素カルシウム、クロスカルメロースナトリウム、またステアリン酸マグネシウム、ヒプロメロース、乳糖水和物、酸化チタン、トリアセチン、青色2号を含有しています。

添加物と言っても身体に悪いイメージのある食品添加物とは違い、どのような薬であっても有効成分に加えて添加物を含むことで安定した状態を維持でき、効果を発揮するため心配する必要はありません。
バイアグラの後発品においては、有効成分以外に含まれる添加物は上記の内容とは多少違いがあります。

はじめは狭心症の薬だった

世界で初めてのED治療薬、バイアグラは前述の通り元々は狭心症治療薬として多くの患者を救うために研究されていました。
開発したファイザー社は循環器系の医薬品開発を得意とする製薬会社であり、日本国内でも『ノルバスク』『カヂュエット』『リピトール』などが多くの循環器系疾患の患者に処方され、その名が知られています。

循環器系とは心臓をはじめとして、血管、リンパ管など体内に血液やリンパ液を循環させる器官系統の総称です。
ファイザー社の薬は、高血圧症や脂質異常症など心血管系のリスクが高い患者においてよく処方されます。

しかし、循環器疾患の一つである狭心症に対しての効果は不十分でした。
新薬の開発の成功率は実に2万分の1~3万分の1と言われるほど低いもので、研究を始めても成果を上げられないというのは珍しくありません。

臨床試験で被験者から「勃起不全が改善した」「勃起持続時間が長くなった」などと言った副次的効果のエピソードを聞いて、一度開発中止に追い込まれた研究チームも、新たにED治療薬としての開発に踏み出すことができました。

PDE5(ホスホジエステラーゼ)阻害効果が心臓だけでなく、陰茎の血管にも作用すると考えられ、改めてシルデナフィルはED治療薬として再び治験が行われることになりました。

現在シルデナフィルはED治療薬してだけでなく、肺高血圧症の治療薬としても使用されています。
日本国内では2008年1月に肺高血圧症治療薬として『レバチオ』という薬剤が承認されました。

バイアグラと同じく、レバチオはシルデナフィル製剤ですが用量が違い、バイアグラは25mgまたは50mgであるのに対し、レバチオ錠・レバチオOD錠は20mg、懸濁用ドライシロップは900mgの有効成分が含まれています。
ドライシロップとは粉末タイプの薬剤で、水に溶かしてシロップとして服用することができます。
子どもにおいては体重に合わせて加える水の量を減増させることによって服用可能です。

2017年にドライシロップタイプのレバチオが登場し、小児への投与も認められたため、肺血圧症に苦しむ子どもに光が差しました。
肺高血圧症とは、肺動脈の血圧が高くなる病気で、プラークなどにより心臓から肺への血管が細くなり、うまく血液を送り出せない状態を経て、重度の場合は右心不全を呈し死亡する可能性もある病気です。

シルデナフィルの服用によりPDE5が阻害され、cGMPの破壊を食い止めることができます。
その結果細胞中のカルシウム濃度は低下し、血管拡張が促され血流改善効果を期待することができます。