世界初のED治療薬『バイアグラ』

先発薬バイアグラ

バイアグラは日本国内では最も有名なED治療薬ですが、世界で初めて登場した時の衝撃は凄まじいものでした。
バイアグラの登場以前は、ED(勃起不全)は治らないと世間では思われていて、そもそもED自体を病気だと認識している人も少なかったからです。

しかし実際のところ、成人男性の約25%に当たる人がEDに悩んでいると言われるほど、EDは珍しい病気ではありません。

当初からバイアグラの注目度は高く、アメリカのFDA(アメリカ食品医薬品局)が承認してからわずか半年ほどで、日本でも厚生労働省が医薬品として承認しました。
通常海外で承認された医薬品が日本で認可されるまでには約3~5年はかかると言われていますがこのように短期間で認可されたのは、当時のバイアグラの注目度を物語っていると言っても過言ではないでしょう。

バイアグラはファイザー社から開発された

バイアグラの有効成分シルデナフィルは、肺性高血圧症(エコノミークラス症候群の急性症状)など緊急度の高い治療の際に投与される成分で、元来狭心症をはじめとした虚血性心疾患の治療薬として開発されていました。
このことからも分かるようにバイアグラは薬理作用の強い薬です。

ED治療薬としても慎重に取り扱われるべきであり、決して単なる性行為ドラッグとして安易に考えてはいけません。
用法用量を遵守せず乱用すると、副作用が現れる可能性も高いため、事前に薬に対してよく理解を深めておくことが大切です。

バイアグラの見た目

バイアグラの形状は菱形の青い錠剤になっており、日本国内では有効成分シルデナフィルの含有量が25㎎と50mgの2種類のタイプが認可されています。

他にも同じシルデナフィルを含む薬として、水なしで飲めるピンクのフィルム状の『バイアグラOP』や、白や青の丸い錠剤の形をしたバイアグラジェネリック(バイアグラの後発品)が流通しており、これらは50㎎の製剤が主流となっています。

最も有名なのは菱形の青い錠剤のバイアグラですが、これに関しては粗悪な模造品が販売されることが多々あり、個人輸入代行を利用したい時は信頼できる業者か見極めて購入するようにしてください。

日本で正式承認されているバイアグラとバイアグラジェネリックに関しては医師の処方箋が必須で、調剤薬局または院内薬局でしか購入することはできません。
性行為グッズ販売店などで販売されている粗悪品には手を出さないよう注意しましょう。
バイアグラの乱用や誤用、または粗悪な模造品による死亡例も出ているので十分気を付けてください。

バイアグラの正しい服用方法

ここでバイアグラの服用による副作用を予防するため、正しい服用を確認しましょう。
まず服用ですが、性行為の約1~2時間前に空腹の状態で(食前・後に服用すると効果が落ちる可能性がある)、水または白湯で服用します。

水がない時はお茶やコーヒー、アルコールなどで服用しても構いません。
多少カフェインやアルコール分が含まれていても問題なく服用できますが、牛乳など乳脂肪分の多い飲料による服用は脂溶性であるシルデナフィルの吸収率を低下させるため避けてください。

服用する際は口の中で噛み砕いてから飲んでも薬効に変わりはありませんが、とても苦く感じられるため、水やお茶で飲んだ方が良いでしょう。

アルコールでの服用は適量(日本酒であれば1合程度、ワインであれば200cc程度)であれば構いませんが、飲み過ぎてしまうと勃起効果が十分得られないことがあるので、あまりおすすめできません。

バイアグラの効果持続時間

バイアグラの効果持続時間は約2~4時間程度で、最も薬の効き目が強いのは服用から2時間前後の時間帯と言われているため、事前に予測して服用する時間帯を決めておきましょう。
服薬の頻度に関しては1日1回の服用が上限で、次の服用までは最低でも24時間空ける必要があります。

バイアグラはあくまで勃起を持続させるための薬であって、継続して飲むことでED自体を根本的に治す訳ではありません。

毎日継続して服用する必要性はありませんし、服用しなくても勃起が十分得られる場合や性行為自体を行わない日にも飲む必要はありません。
また、バイアグラを飲むことによって性的に興奮が高まりやすくなるという作用はありません。

バイアグラの薬効薬理

次にバイアグラがどのようにしてEDに治療効果をもたらすかを解説します。

陰茎の内部には『PDE5(ホスホジエステラーゼ5)』という勃起を抑制する酵素が存在します。
健康な男性は射精後にこのPDE5が陰茎内部に増加し、海綿体組織への血液の流入が抑えられることにより、勃起状態が鎮まり性欲も低下していきます。
一方ED患者ではPDE5の代謝が不十分であり、PDE5が陰茎内で過剰に留まり続け、結果的に勃起を阻害します。

バイアグラの有効成分シルデナフィルはPDE5の働きを阻害する薬理作用を持っています。
性行為の1~2時間前に服用することによって、陰茎内部のPDE5の働きを抑え勃起を持続させるというのが薬効です。

大手製薬会社であるファイザー社は、既に心疾患の治療薬として開発されていたシルデナフィルが持つPDE5阻害作用に着目し、バイアグラの開発、そして製造に成功しました。
元来シルデナフィルは心臓の冠動脈における血流を良くするための治療薬として用いられていましたが、臨床試験上副次的に陰茎内部のPDE5の働きも阻害するという例が多数報告されたために、ED治療効果として見直されたのです。

では勃起のメカニズムにおけるPDE5の役割とはどのようなものでしょうか。

勃起のメカニズム

通常人が性行為を行う際には、視覚・触覚・嗅覚などから性的に刺激を受け、その信号が脳に伝することで性的に興奮します。

このように性的な興奮が起こると、次は脳から脊髄を通して陰茎の平滑筋まで『勃起しなさい』と電気信号が送られます。
陰茎平滑筋ではこの信号を受け、一酸化窒素の量を増やすことによって陰茎動脈を拡張させます。
性的興奮により拡張した陰茎動脈には大量の血液が流入し、反対に静脈への血流は抑制され、陰茎海綿体細胞(スポンジ状の構造をした組織)は血液でパンパンになります。

これが性行為による勃起のメカニズムです。

しかし、性行為が終わってもこの勃起状態が継続してしまうと陰茎がうっ血してしまいます。
そこで射精を機に陰茎内にPDE5が放出され、平滑筋への血流量を抑え、また陰茎静脈への血液の流入が促され、勃起が鎮まるという仕組みになっています。

PDE5は脳内の鎮静物質の働きとも連動しているため、勃起の終了とともに性的興奮も鎮まります。